Web活用の失敗の原因は、実は組織の中にある。

Web活用における、失敗パターン。

会社でも自治体でも、せっかく予算を取って CMS(コンテンツ・マネジメント・システム) を導入したり、サイトをリニューアルしたりしても、結果的に失敗してしまうことが多々あります。何が失敗かというと、例えばこういうことが起こります…。

・膨大な費用を注ぎ込んでリニューアルを試みたのに、結果的に、単なるデザインのお化粧直しで終わってしまう。
・CMSの導入によって効率的な管理が可能になるはずだったのに、これまでとあまり変わらない。
・ブログやCMSの導入によって、自社情報をどんどん発信できる環境が整ったのに、実際には誰も発信していない。
・リニューアルしたのに、その効果がわからない。

などなど…。

前の会社にいた時からもそうでしたが、「ある会社に頼んでリニューアルしたんだけど / システムを導入したんだけど、芳しくないんだよ…。どうしたらいいの？」という相談がちょくちょくありました。それだけ、意外にも失敗してしまうケースが多いということなんです。

ちなみに相談をいただいた問題の原因は、半分は、担当した会社さんがもう少しちゃんとフォローしてあげればいいのに…というもの。残りの半分は、依頼した側の体制や組織に原因があるものです。

Webサイトは、その会社や組織の映し鏡。

「体制や組織に原因がある」とはどういうことか。
インターネットやWebや、システムに関する専門知識がある人がいるかどうか、ということではありません。そうではなく、Webの運用ができるようにスムーズな組織間の連携ができているか、または、トップダウンの指示で組織が協調して稼動できるか、ということです。

以前にも書きましたが、Webサイトは、その性質上、非常に組織横断的です。
それは、Webサイトが "単なる広告" なのではなく、「会社そのもの」と捉えられているからです。どんなに素敵な会社でも、Webサイトのデザインがダメだとそういう会社だと思ってしまいますし、問い合わせて返事がないと、酷い会社だと思ってしまいます。ある商品に対する情報を調べたいのに、そのことが掲載されていないと、不親切な会社だと思ってしまいます。ブログが設置されているのに、情報が更新されていないと、大丈夫？と思ったり心配になったりします。何年も前の観光情報しか掲載していない自治体は、やる気があるのかなぁ…と、観光地としての魅力が半減してしまいます。

多くの方が、自社以外のサイトを見る時にはそのように感じているはずです。
Webサイトは、その会社や組織のことが透けて見えてしまう、「映し鏡」のようなものです。

スムーズな組織連携ができなかったり、トップダウンによって組織が協調して稼動できないと、多くの場合、本来サイト上に掲載されていないといけない情報や、お客様のためにあるべきサービスが、社内のどこかで止まってしまう…ということになります。「そこはうちには関係ないよ」とか「そっちが勝手に始めたんだから」「もう人を割けないよ…」など、お客様にとっての利益のためにどう動いたらいいのか、を協力して考えないといけないところを、自組織の考え方や都合が優先されてしまい、結果として、お客様と向き合う最前線のWebサイトがないがしろにされてしまうのです。

ですので、Webサイトを構築する場合、我々は、まずは社長や最高責任者による意思決定をお願いしています。場合によっては、組織や業務の体制を変えないと対応できない場合が出てくるためです。それが可能なのは、社長や最高責任者です。

実際、Webサイトの重要性を認識している企業では、企画や運営をする部署を経営戦略室の中に置いたり、社長室直属に置いたりしています。

もちろん、すべての組織がそのような体制をとらないといけないわけではありません。
ただ、Webサイトはその組織を映す鏡で、その組織の柔軟性や縦割り度が顕著に現れてしまうということはぜひともご理解いただきたいと思います。

Webサイトを企画や制作にかかわる私は、その過程で、色々な部署の方々とお話しすることになります。その中で、同じ話題が、あっちの部署ではこういう解釈のされ方をしていて、こっちの部署ではこういう解釈のされ方をしているなど、組織の色々な形を拝見させていただいてきました。
サイトを外から見えるもの、そして、制作過程で組織の中に入って見えるもの、その両方から、今回のようなことを痛感しています。

みなさんのところはいかがですか？

次回をお楽しみに♪